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筆者の家には、TPM非対応でWindows11に公式アップグレードできない古いPCが何台か転がっています。中古で安く手に入れたLet’snoteのタブレットPCや、ファイルサーバーとして使っているPCなど、どれも「Windows10のサポートが切れたら終わり」ではもったいない、まだまだ現役で使えるマシンばかりです。
「Windows10、もうサポート終わったんでしょ?」「じゃあ買い替えなきゃ……」と思っている人、ちょっと待ってください。実は思っているより時間の余裕がありますし、買い替え以外の選択肢もちゃんとあります。
この記事では、Windows10サポート終了の正確な最新情報と、TPM非対応PCで筆者が実際に試した3つの対処法(そのまま使う・無理やりWindows11化する・Linuxを入れる)を、実体験ベースでまとめます。あわせて、中古PC選びで気をつけたい注意点も紹介します。
Windows10のサポート、実際どうなってる?
まず前提を整理しておきます。
Windows10の通常サポート(無料の更新プログラム提供)は、2025年10月14日にすでに終了しています。これは事実です。ここから先、Microsoftは基本的にWindows10向けの新しいセキュリティ更新プログラムを無料では提供しません。
ただし、ここで多くの人が誤解している、あるいは知らないポイントがあります。個人向けに「ESU(拡張セキュリティ更新プログラム)」という救済措置が用意されていて、しかもこれが2026年6月25日に延長が発表され、2027年10月12日まで無償で利用できるようになったのです。
もともとESUは「2026年10月13日までの1年間」という期間限定の措置として発表されていました。ネット上の記事や解説サイトを見ていても、この古い「2026年10月まで」という情報のまま止まっているものがかなり多いです。実際、この記事を書くために色々調べていても、直近の情報でも平気で古い期限が書かれているのを見かけました。正しくは、もう1年延長されて2027年10月12日までです。Microsoft自身が「重要なセキュリティ更新プログラムを受け取りながら、新しいPCへ移行するための時間を確保できるように」と説明しており、実質的に約2年間の移行期間が用意されたことになります。
ESUの無料登録条件
個人向けESUは、以下のいずれか1つを満たせば無料で登録できます。
- Windowsのバックアップ機能でOneDriveに同期する
- Microsoft Rewardsポイントを1,000ポイント消費する
- (上記が難しい場合)30ドルを支払って有償登録する
登録にはMicrosoftアカウントとパソコンの管理者権限が必要です。手順としては、「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」を開き、条件を満たしていれば登録リンクが表示されるので、そこから進めます。
サポート終了後もPCは普通に動く
誤解されがちですが、サポートが終了したからといって、Windows10搭載PCが起動しなくなったり急に使えなくなったりするわけではありません。ソフトウェア自体は今まで通り動きます。変わるのは「新しいセキュリティ更新プログラムが(ESUに入らない限り)配布されなくなる」という点だけです。とはいえ、セキュリティ更新が止まった状態でネットに繋ぎ続けるのは、ウイルスやマルウェアのリスクが上がる行為ではあるので、そこは正しく理解した上で判断する必要があります。
そもそもなぜ「TPM非対応」が問題になるのか
Windows11への公式アップグレードには、次のようなハードウェア要件があります。
- TPM 2.0(セキュリティチップ)搭載
- UEFIファームウェア+セキュアブート対応
- 1GHz以上・2コア以上の64bit対応CPU
- CPUについては、Intel第8世代Core以降、AMD Ryzen 2000シリーズ(Zen+世代)以降が対象
ここで厄介なのが、CPUの世代境界です。例えばIntelの場合、見た目のスペックが大差ない第7世代(Kaby Lake)は公式には非対応で、第8世代からが対象になります。同じ「Core i5」でも、型番の数字ひとつで明暗が分かれるということです。TPM自体はマザーボード側の対応状況にもよるので、「CPUは対応世代なのにTPMだけ非対応」というパターンもあれば、その逆もあります。
自分のPCが対応しているかどうかは、以下の方法で確認できます。
- Microsoft公式の「PC正常性チェック」アプリで診断する
- 「Windowsキー+R」→「msinfo32」でプロセッサ型番を確認し、型番の世代数字で判定する
- Microsoft公式のプロセッサ要件ページで型番を検索する
ちなみに、正規のWindows10ライセンスがあってTPM対応PCなら、2026年8月現在もまだ無料でWindows11にアップグレードできます(Microsoftは終了時期を公式には発表していないので、いつか予告なく終わる可能性はありますが、今のところは無料です)。TPM対応PCなら、悩まずこの無料アップグレード一択で問題ありません。
ここから紹介するのは、あくまでTPM非対応でこの無料アップグレードの対象外になってしまったPC向けの話です。筆者が実際に試した3つの対処法を紹介します。
対処法①:気にせずそのまま使う(自己責任)
一番シンプルなのが「Windows10のまま使い続ける」という選択です。筆者もこれをやっているPCがありますが、何も考えずに使っているわけではなく、リスクを分散させる工夫をしています。
具体的には、用途ごとにPCを分けています。
1台目:YouTube専用機(データを保存しない)
このPCは基本的にYouTubeを見る用途にしか使っておらず、個人情報などのデータは一切保存していません。
しかし、ここには例外があります。もし同じネットワーク内にファイルサーバーやNASがあって、そこにアクセスできる状態(共有フォルダをマウントしている、ログイン情報が保存されていて自動で繋がる、など)になっていると、感染した端末自体にはデータがなくても、そこを踏み台にしてファイルサーバー側のデータまで被害が及ぶ可能性があります。ランサムウェアの中には、感染した端末だけでなく、そこからアクセスできるネットワーク共有先まで一緒に暗号化しにいくタイプもあるからです。つまり「データを保存していないPC=安全」ではなく、「他の大事なデータへのアクセス経路自体がないPC=安全」と考えるのが正確なところです。
このYouTube専用機の場合は、データを保管しているファイルサーバーとはそもそも別のネットワークにいて繋がっていないので、この経路自体が存在しません。仮にウイルスに感染したとしても、被害はこのPC単体の範囲で収まる状態になっています。
2台目:ネットに繋がないデータ保管用機
個人情報の保存や閲覧に使うためのPCは、逆にネットワークに一切接続しない運用にしています。ネットに繋がなければ、Windows10のセキュリティ更新が止まっていること自体があまり問題になりません(そもそも外部からの攻撃経路が存在しないため)。ちなみにこちらは今のところ保存するデータがなく、まだ本格的な出番はありません。
「そのまま使う」といっても、全部のPCを同じ条件でネットに繋ぎっぱなしにするのではなく、「このPCは何のために使うのか」「もし何かあったら何を失うのか、他の大事な場所にアクセスできる状態になっていないか」を考えて役割分担するだけで、安心感はかなり変わってきます。もちろんこれは筆者個人のやり方です。ただ正直な感想を言うと、個人的にはESUに登録してWindows10を延命させるより、もうこの時期まで来たなら思い切ってWindows11に移行してしまったほうがいいんじゃないかとも思っています。ESUはあくまで一時的な延命措置で、新機能が追加されるわけでもありません。どのみちいつかは移行することになるなら、②や③で紹介する方法も含めて、早めに動いてしまうのも一つの手だと思います。
対処法②:Rufusで無理やりWindows11化する(自己責任)
2つ目は、通常のWindows11のISOファイルをダウンロードし、インストール用USBメディアを作るツール「Rufus」を使っていたときに、TPMなどのチェックを無効化できるオプションを見つけたので、実験的に試してみた方法です(これは筆者が当時試したときの話で、現在のRufusでも同じ手順が使えるかどうかは確認していません)。これも完全に自己責任の裏技になります。
筆者がこれを試したのは、かなり前に中古で1万円くらいで買った、Let’snoteのタブレットPC(ディスプレイが取り外せるタイプ)でした。正直「文鎮化(完全に起動しなくなること)したら嫌だな」という不安があったので、保険として同じくディスプレイが180度回転してタブレットのように使えるFujitsuのLifebookを、1万5千円くらいで予備に買っておいたほどです。
結果から言うと、Let’snoteの方は拍子抜けするくらい問題なく動きました。強制インストール特有の不具合も特に見られず、普通に使えています。おかげで保険として買ったLifebookの方は結局出番がなくなってしまい、今はそのLifebookにLinuxをインストールして待機している状態です(③で後述します)。
ただし、これはあくまで筆者の1台での経験です。Rufusでの強制インストールは機種によって成功率や安定性にばらつきがあると言われていますし、Windows11は「24H2」というバージョンからSSE4.2やPOPCNTという命令セットへの対応が必須化されるなど、今後の大型アップデートで要求スペックがさらに上がっていく可能性もあります。つまり「今は動いていても、将来のアップデートで急に不具合が出る」というリスクは常につきまといます。試す場合は、大事なデータが入っていないPC・壊れても困らないPCから試すことを強くおすすめします。
対処法③:Linuxを入れる
3つ目は、Windowsにこだわらず、Linux系のOSに乗り換えてしまう方法です。筆者はこれが一番数を試していて、PCの性能や用途によって使い分けています。
汎用的に使えそうなPCには「Ubuntu」「Linux Mint」
普段使いにある程度耐えられそうなPCには、定番のUbuntuやLinux Mintを入れています。
性能の良くないPCには「Chrome OS Flex」(ネットサーフィン専用)
非力なPCには、Googleが提供している無料のChrome OS Flexを入れて、ネットサーフィン専用機として割り切って使っています。動作が軽く、古いPCでも快適に動く印象です。
ひとつ注意点として、Chrome OS FlexはGoogle Playストアに対応していないため、スマホと同じようにAndroidアプリを入れることはできません。一方でChromeの拡張機能は普通に使えるので、「ブラウザでできることだけで十分」という用途なら、それほど不便には感じないはずです。
ファイルサーバーには「OpenMediaVault」
今、実際にメインで稼働しているのが、OpenMediaVault(NAS構築用のLinuxディストリビューション)を使ったファイルサーバーです。
XubuntuやLubuntuは試したけど、ほぼ放置
非力なPCにはXubuntuやLubuntuといった軽量ディストリビューションも試しましたが、正直インストールしただけでほとんど使わずに終わっています。「動くことは動くけど、積極的に使う理由が見つからない」というのが実感で、Linux系OSは環境によってはこうして「入れただけで満足」してしまうことも普通にあります。
待機中のLifebookには「Zorin OS」を入れる構想あり
②で登場した、出番がなくなって待機中のLifebookですが、今のところは仮でLinuxを入れているだけで、今後「Zorin OS」を入れてみようと考えています。Zorin OSはWindowsに近い見た目・操作感で使えることで知られているディストリビューションで、Windowsのソフトがどこまで動くのか(あるいは動かないのか)を実際に検証してみたいと思っています。これはまだ構想段階なので、試したら別記事で結果を報告するつもりです。
最近はChatGPT(無料)と組み合わせてUbuntuを本格活用
一番最近の話としては、会社でThunderbirdのカレンダーをチーム内で共有するためのサーバー構築や、ファイルサーバーのデータをバックアップする仕組み作りに、ChatGPT(無料版)に相談しながらUbuntuを使っています。以前は「Linuxはコマンド操作が難しそう」で挫折することもありましたが、今はAIに手順を聞きながら進められるので、以前よりずっと敷居が低く感じています。「昔Linuxで挫折した」という人も、今なら案外いけるかもしれません。
Linuxへの乗り換えは、Windowsのソフトがそのまま使えなくなる(代替ソフトを探す必要がある)というハードルはありますが、YouTube視聴やネットサーフィン、ファイルサーバーのような限定的な用途であれば、十分実用に耐えます。
注意:「Windows11搭載」の中古PCを買うときに気をつけたいこと
ここまでは自分のPCをどう延命するかという話でしたが、これから中古PCを買う人にも知っておいてほしい注意点があります。
ネット上の中古PCショップやフリマサイトの中には、本来Windows11に対応していないTPM非対応のPCに、Rufusのようなツールで無理やりWindows11をインストールして、それを「Windows11搭載」として販売しているケースがあります。買う側からすると、正規にアップグレードされたのか、非公式に無理やり入れられたものなのかは、商品説明を見ただけでは判断がつきにくいことも多いです。
こうした非公式インストールのPCは、この記事の②で紹介したような「今後の大型アップデートで不具合が出るリスク」を、知らないうちに背負わされることになります。売る側が悪意を持っているとは限りませんが、少なくとも公式サポート対象外である旨がきちんと説明されていない商品には注意が必要です。
筆者が中古PCを買うときにやっているチェック方法はシンプルで、CPUの型番を確認することです。型番を見て対応世代かどうかがすぐに分からない場合は、「(使用しているCPUの型番) Windows11対応」でGoogle検索すれば、大抵は対応・非対応の情報が出てきます。この一手間をかけるだけで、「実はTPM非対応機に無理やり入れられたWindows11だった」という事態はかなり避けられます。
本気で買い替えるなら
「延命はもう十分試した」「そろそろ本腰入れて買い替えたい」という人向けに、以前書いた記事も紹介しておきます。Windowsのライセンスを安く手に入れる方法について、実体験ベースでまとめています。
ただ、「本格的な用途はないし、とりあえずWindows11がちゃんと動けばそれでいい」という人なら、無理にライセンスから揃えなくても、型落ち・中古の格安PCを丸ごと買ってしまうという手もあります。筆者もいつもチェックしている「pcspocket」なら、型落ち・中古のモデルがかなり手頃な価格帯で見つかるので、気になる方は一度覗いてみてください。
延命でしのぎつつ資金を貯めておいて、タイミングを見て安く正規のWindows11搭載PCに乗り換える、というのも現実的な選択肢だと思います。
まとめ
Windows10の通常サポートは2025年10月14日に終了していますが、個人向けESUに登録すれば2027年10月12日まで無料でセキュリティ更新を受け続けられます。「もう使えない」と焦って買い替える前に、まずはこの事実を知っておくだけでも選択肢が広がるはずです。
TPM非対応でWindows11に公式アップグレードできないPCについては、①用途を分けてリスクを抑えながらそのまま使う、②Rufusで自己責任のもと無理やりWindows11化する、③Linuxに乗り換える、という3つの道があります。
個人的なおすすめの優先順位を言うと、一番のおすすめは③のLinuxに乗り換えるか、思い切って買い替えるかのどちらかです。①はあくまで一時しのぎ、②は「実験してみたら動いた」というだけの裏技であって、積極的に本命にするような方法ではありません。特に大事なデータを扱うPCなら、なおさら③か買い替えを優先してください。ただ、非力なPCが手元にあって「今すぐ処分するのはもったいない、ちょっと遊んでみたい」というときには、①や②も選択肢として知っておいて損はないと思います。
そして中古PCを買う側になったときは、「Windows11搭載」の表記を鵜呑みにせず、CPUの型番を自分で確認する一手間を惜しまないようにしてください。
古いPCだからといってすぐに手放す必要はありません。工夫次第で、まだまだ現役で働いてもらえますよ。

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