※本記事にはPRを含みます。
軽くて持ち運びやすく、タブレットにもなる。原稿を書いたり、ちょっとしたブラウジングをしたりするのに、筆者が気に入って使っているのがレッツノートのCF-XZです。タブレットモードにできるので、PDFで作った原稿を読み上げさせる、なんて使い方をするのにも地味に重宝しています。
ただ、これだけ気軽に持ち出したくなる機種なのに、一つだけずっと引っかかっていることがありました。電源端子がUSB Type-Cではないんです。そのせいで、外出先までわざわざ純正のACアダプタを持ち歩く必要がありました。スマホやモバイルバッテリーはとっくにUSB Type-C一本で済む時代なのに、この一台のためだけに専用アダプタを鞄に入れる……。しかもACアダプタは結局コンセントに挿す前提の道具なので、持ち歩く手間だけでなく、出先でコンセントのある場所をわざわざ探さないといけないわずらわしさもセットでついてきます。地味に「身軽に持ち出したい」というCF-XZの魅力を半分自分で消してしまっているような、そんなモヤモヤがありました。
これをUSB PDトリガーケーブルという道具で解消しようとしたんですが、実際にやってみると一筋縄ではいかず、ちょっとしたトラブルシューティングをする羽目になりました。今回はその顛末を、原因の切り分け方も含めて紹介します。
電源がUSB Type-Cじゃないと、何が困るのか
CF-XZに限らず、少し前のノートパソコンや、大きな電力を必要とするノートパソコンでは、丸い形の専用DC端子(いわゆる「丸型ジャック」)で充電する機種が今でも珍しくありません。壊れにくく安定した給電ができる仕組みではあるんですが、困るのは「そのメーカー・機種専用のACアダプタが無いと充電できない」という点です。
最近のスマホ用モバイルバッテリーは、USB Type-C(USB PD対応)のものが主流になっています。じゃあ手持ちのモバイルバッテリーとUSB Type-Cケーブルを丸型ジャックに変換するアダプタを挟めば充電できるんじゃないか、と思いたくなるところですが、そう単純ではありません。USB PDという規格は、繋いだ機器同士が「何V・何Aで送るか」をお互いに通信して決める仕組みになっていて、ただケーブルの形状だけ変換しても、電圧が合わなければ機器側は電気を受け取ってくれないのです。
PDトリガーケーブルを使えば、モバイルバッテリーからでも給電できる(はず)
そこで登場するのが「USB PDトリガーケーブル」です。
USB PDでは、5V・9V・15V・20Vといった決まった電圧の中から、機器同士のやり取りで電圧が選ばれる仕組みになっています。PDトリガーケーブルは、その中の特定の電圧(例えば15V)を「強制的に要求する」ための小さなチップ(eMarker)が内蔵されたケーブルです。パソコン側が本来やるはずの「この電圧をください」という通信を、ケーブル側が代わりにやってくれる、とイメージすると分かりやすいと思います。
これのおかげで、パソコン本体がUSB PDに対応していなくても、モバイルバッテリー側さえPD出力に対応していれば、狙った電圧を引き出して丸型ジャックに変換し、パソコンに給電できるようになる……はずでした。実際にはここからひと悶着あったので、次から順を追って説明します。
まず用意したもの
レッツノートXZシリーズに対応した、eMarker内蔵のUSB PDトリガーケーブルを購入しました。USB Type-Cケーブルは以前から持っていたものを、モバイルバッテリーも普段使っているものをそのまま使えるだろう、という想定で臨みました。つまり、新たに買ったのはトリガーケーブル1本だけ。これだけで解決するなら、かなり安上がりのはずでした。
いざ繋いでみたら、充電ランプが光らない
ところが、トリガーケーブルが届いて、手持ちのモバイルバッテリーに繋いでみたところ、CF-XZ側の充電ランプがまったく光りません。念のため電源を入れて確認してみても、電源が接続されているという認識すらされていませんでした。
「あれ、繋いでるはずなのに」と、ここで一気に振り出しに戻った感覚になりました。原因として考えられるのは、トリガーケーブル・モバイルバッテリー・USB Type-Cケーブルのいずれか、あるいは全部が非対応という可能性です。3つの組み合わせのうち、どれが悪いのか分からない状態からのスタートでした。
原因を一つずつ切り分ける
こういうときは、怪しい部分を一つずつ確定させていくのが確実です。
まずはUSB Type-Cケーブルを別のものに交換してみましたが、状況は変わりませんでした。この時点で、ケーブル自体が原因ではなさそうだと分かりました。
次に、トリガーケーブルをPD65W対応のUSB Type-C充電器(モバイルバッテリーではなく、コンセントに挿す通常のACタイプC充電器)に繋いでみました。すると、充電ランプがしっかり点灯し、電源接続もきちんと認識されました。これで、トリガーケーブル自体とパソコン側には問題が無いことが確認でき、残る容疑者はモバイルバッテリーだけ、というところまで絞り込めました。
手持ちのモバイルバッテリーを片っ端から試す
モバイルバッテリーが怪しいと分かったところで、家にある手持ちのモバイルバッテリーを片っ端から繋いでみることにしました。ただ、この後の展開が我ながらなかなか笑えるものでした。
1台目は、正直「たぶんこれはダメだろうな」とほとんど期待せずに試したモバイルバッテリー。案の定、動きませんでした。
2台目は、「もしかしたらいけるかもしれない」とわずかな期待をかけて試したものでしたが、これも撃沈。
3台目は、ワークマンで買ったペルチェベスト(冷暖房機能付きの作業用ベスト)のバッテリーです。容量も大きく「これはさすがにいけるだろう」と自信を持って試したんですが……まさかのこれも失敗でした。
自信のあった3台がことごとく討ち死にする中、最後に試した4台目は、空調服(ファン付きの作業服)用のバッテリーでした。ペルチェベストに続いてまた作業着系のバッテリーだったんですが、正直あまり期待せず「家にあるし、一応繋いでみるか」くらいの軽い気持ちでした。ところが、あっさり充電ランプが点灯。一番気合を入れて臨んだペルチェベスト用バッテリーが撃沈し、一番気軽に試した空調服用バッテリーが正解だったという、狙いすましたような結果になりました。
後で確認してみたところ、失敗した2台目・3台目はどちらも最大出力25Wまでのモバイルバッテリーで、動いた空調服用バッテリーは65W出力に対応していました。電圧うんぬん以前に、単純にCF-XZの充電に必要なワット数へそもそも届いていなかった、というのが失敗の理由だったわけです。
これで、「モバイルバッテリーなら何でも使える」わけではなく、機種によって対応・非対応がはっきり分かれることが、身をもって確認できました。
PD65W対応のモバイルバッテリーを新たに購入して専用化
空調服用のバッテリーでようやく動作を確認できて、「PD65W程度の出力に対応したモバイルバッテリーなら動く」という手がかりを掴めました。
ただ、このバッテリーはあくまで空調服本来の用途、つまり作業中に服を冷やすファンの電源としても普段から必要になるものです。CF-XZの充電にずっと回しっぱなしにしてしまうと、いざ空調服を使いたいときに肝心のバッテリーが無い、なんてことになりかねません。それに、そもそも空調服用として売られているバッテリーをノートパソコンの充電にそのまま使い続けるより、パッケージに「パソコン・スマートフォン・Nintendo Switchにも使えます」ときちんと明記されているモバイルバッテリーを使う方が、安全性の面でも安心できそうだと考えました。なので、これをそのままCF-XZ専用のモバイルバッテリーにしてしまうのは、さすがに現実的ではありませんでした。
そこで、PD65W出力に対応していて信頼できそうなメーカーを探し、エレコムのモバイルバッテリー(型番:EC-C44LBK)にたどり着いて購入。CF-XZ用として専用で持ち歩けるようにしました。これを繋いでみたところ、無事に充電ランプが点灯し、CF-XZへの給電に成功しました。
結果的に、今回新たに買ったのは「トリガーケーブル」と「PD65W対応のモバイルバッテリー」の2点ということになります。当初の想定より出費は増えましたし、動作するバッテリーにたどり着くまでにも一手間かかりましたが、それでも純正ACアダプタを持ち歩かなくて済むようになったメリットは大きく、満足しています。
この経験から学んだこと・買う前に確認しておきたいポイント
一連のトラブルシューティングを通して分かったのは、「PD対応」という表記だけでは判断材料として不十分だということです。
USB PDのモバイルバッテリーは、機種によって対応している電圧の種類も、出せるワット数もバラバラです。トリガーケーブルが要求する電圧(今回で言えば15V)のプロファイルに対応していても、出力できるワット数が足りなければ、給電が始まらないことがあります。今回のケースでは、電圧うんぬん以前に、モバイルバッテリー側の出力の余裕そのものが足りていませんでした。実際、失敗した2台は最大出力25Wまでだったのに対し、唯一動いた1台は65W出力に対応していました。手持ちの4台のモバイルバッテリーのうち、動いたのはたった1台だけでした。
なので、これからモバイルバッテリーでノートパソコンを充電しようという方は、パッケージの「PD対応」の一文だけで判断せず、次の2点を意識しておくと失敗しにくいはずです。
- トリガーケーブルが要求する電圧(15Vなど)に対応しているか
- 65W前後など、ある程度余裕のあるワット数を出力できる機種かどうか
正直なところ、事前にスペック表だけで確実に見極めるのは難しい面もあります。可能であれば、外出先で頼る前に、自宅で一度実際に繋いで充電できるか確認しておくのが一番確実だと思います。手持ちのモバイルバッテリーが複数あるなら、今回の筆者のように片っ端から試してみるのも、案外近道かもしれません。
おまけ:Ewinの折りたたみキーボードとタブレットモード
ついでに、CF-XZをタブレットとして使うときの相棒も一つ紹介させてください。Ewinという折りたたみキーボードを組み合わせると、コンパクトに折りたためて持ち運びやすいので、タブレットのタッチ操作があまり得意でなくても、キーボードとマウスでそのまま操作できるようになります。使い込んでみてレビューできそうなネタが溜まってきたら、また別記事で詳しく紹介したいと思います。
まとめ
電源がUSB Type-Cではない古いノートパソコンでも、USB PDトリガーケーブルを使えば、モバイルバッテリーから直接給電できるようになります。ただし今回の実体験から言えるのは、「トリガーケーブルさえ買えばどんなモバイルバッテリーでもOK」ではない、ということです。
最終的に用意したのは次の3点でした。
- レッツノートXZシリーズ対応のUSB PDトリガーケーブル(今回新たに購入)
- USB Type-Cケーブル(もともと手持ちのものを流用)
- PD65W対応のモバイルバッテリー(手持ちの4台のうち3台は動作せず、専用に新たに購入して解決)
ポイントは、トリガーケーブルが要求する電圧に対応しているかだけでなく、モバイルバッテリー側が十分なワット数を出力できるかどうかです。ここを見誤ると、今回の筆者のように「自信満々で試したものほど動かない」という振り出しに戻ることになります。可能であれば、出先で頼る前に自宅で一度動作確認をしておくと安心です。
レッツノートに限らず、電源端子がUSB Type-Cではない古いノートパソコンを使っている方にも、同じ考え方が使える方法だと思います。純正ACアダプタの持ち運びに不便さを感じている方は、モバイルバッテリー側のワット数に注意しながら、一度試してみる価値があるはずです。
なお、トリガーケーブルは「USB PD対応」であれば何でもいいわけではなく、お使いの機種が要求する電圧(今回のCF-XZで言えば15V)に対応した、その機種向けのものを選ぶ必要があります。また、こうしたトリガーケーブルの多くはパソコンメーカーが公式に用意しているものではなく、サードパーティ製の周辺機器である点にも注意してください。万が一、そうしたサードパーティ製品が原因でパソコン側に不具合や故障が起きた場合、メーカー保証の対象外になってしまう可能性もあります。購入前に、自分のパソコンの型番に対応していることをしっかり確認することをおすすめします。

コメント